親の家、どうする 相続した実家と空き家の、次の一手を決める
家族の話

認知症の親の不動産は売却できる?成年後見と売却までの手順

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こんにちは。みのるです。親の家のことを、国や市の資料と、知恵袋やXの投稿をもとに書いています。(→みのるのプロフィール)

悩む人 悩む人

母が施設に入り、実家は空き家になりました。
介護の費用に充てたいのですが、母は認知症で話がほとんど通じません。
子どもの私が代わりに売ることはできるんでしょうか。

親が認知症でも、家を売る道はあります。
ただし、子どもが親の代わりに売ることはできません。

売れるかどうかは、親本人に「売る」と判断する力が残っているかで決まります。
残っていないときは、家庭裁判所に成年後見人を選んでもらい、その人が売ります。

このページを読むと

  1. 今の親の状態で、家を売れるかどうかの見当がつきます
  2. 成年後見を使って売るまでの手順と期間が分かります
  3. 家族が知らずに踏みやすい落とし穴を先に避けられます

認知症の親の家を売れるかは本人の判断能力で決まる

家を売る契約は、名義人の親本人が結びます。
このとき本人に、売るとはどういうことかを分かる力が要ります。

民法では、契約のときに本人にこの力(意思能力)がなかった場合、その契約は無効と定めています。
認知症と診断されたかどうかではなく、そのときの本人の状態で決まります。

条文は e-Gov 法令検索の民法 第3条の2で読めます。

軽い物忘れがある程度なら、本人が自分で売ることもあります。
話がほとんど通じない状態なら、本人が結んだ契約はあとで無効になるおそれがあります。

知恵袋には、まさにこの状態で迷っている人の相談がありました。

母(父はすで他界)は昨年脳梗塞で倒れてから今は高齢者医療施設に入所していて 年金だけでは足りず、実家(母の名義)を売却する事も検討中です。

認知がほとんどなく意思疎通が出来ません。 この場合どうすればよいでしょうか?

出典は Yahoo!知恵袋の投稿(2024年11月)です。

みのる みのる

意思疎通ができない状態なら、家族の話し合いだけでは売れません。

次の成年後見の手続きが、ほぼ唯一の道になります。

家族が代わりに売るには成年後見の手続きが要る

相談窓口で書類を見ながら説明を受ける人

成年後見は、判断する力が十分でない人に代わって、財産の管理や契約をする人を家庭裁判所が選ぶ制度です。

選ばれた人(成年後見人)が、親の代わりに家を売ります。

STEP
  1. 親の住所地の家庭裁判所に、後見開始の申立てをする
  2. 家庭裁判所が本人の状態を確かめ、成年後見人を選ぶ
  3. 成年後見人が、家を売る必要があるかを判断する
  4. 住んでいた家を売るときは、家庭裁判所の許可をもらう
  5. 許可が出てから、買主と売買の手続きを進める

申立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族などです。
子どもは申し立てられます。

費用金額
申立ての手数料収入印紙800円
登記の手数料収入印紙2,600円
郵便切手裁判所ごとに違う
鑑定費用医師の鑑定が要るときだけ

出典は 裁判所「後見開始」です。

2025年に結論が出た申立てのうち、申し立ててから2か月以内に結論が出たものが71.1%、4か月以内が93.8%です。
医師の鑑定をしたのは3.4%で、鑑定費用は10万円以下が85.8%でした。

数字は 最高裁判所「成年後見関係事件の概況」令和7年によります。

同じ資料では、後見が始まった原因の61.3%が認知症でした。
申立ての動機の36.3%が「不動産の処分」です。

親の家を売るために成年後見を使う人は、珍しくありません。

成年後見人は家族が選ばれるとは限らない

申立てのときに、子どもを後見人の候補に書くことはできます。
ただ、誰を選ぶかは家庭裁判所が決めます。

2025年に選ばれた成年後見人などのうち、親族は16.4%、親族以外は83.6%でした。
弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることのほうが多いです。

専門職が選ばれると、家庭裁判所が決めた報酬を、親の財産から払います。
報酬の実例は 最高裁判所「報酬に関する実情調査の集計結果」に、親の預貯金の額ごとに載っています。

もう1つ知っておきたいのは、今の制度では、家を売ったあとも後見は続くことです。
家を売るためだけに始めて、売ったら終わり、という使い方はできません。

2026年6月に民法が改正され、成年後見は「必要な範囲で、必要な期間だけ」使える制度に変わります。
施行は2028年12月までの政令で決まる日で、それまでは今の制度のままです。

改正の中身は 法務省「民法等の一部を改正する法律(成年後見及び遺言の制度の見直し)」で確かめられます。

住んでいた家を売るには裁判所の許可がもう1つ要る

施設の明るい部屋で母親の手を取って話す人

成年後見人が選ばれても、すぐに実家を売れるわけではありません。
親が住んでいた家を売るには、家庭裁判所の「居住用不動産処分の許可」が要ります。

今は施設や病院にいても、そこを出たら帰る家は「住んでいた家」として扱われます。
許可を取らずに売った契約は無効になります。

出典は 裁判所「居住用不動産の処分についての許可」と大阪家庭裁判所の案内(PDF)です。

許可の申立てには、不動産会社が作った査定書と、売買契約書の案が要ります。
つまり、買主と話を進めてから、契約の一歩手前で許可を取る流れです。

査定書を作ってもらう段階で、会社ごとの値段の差が出てきます。

施設にいる父名義の実家を売却しようと検討中です。 市街化調整区域の再建築不可物件で 買い取り価格大体250万円位の価値と言う不動産屋さんが多い中、500万円と言ってくれる業者さんがおります。

出典は Yahoo!知恵袋の投稿(2026年4月)です。

裁判所に出す査定書は、値段の根拠が書かれている必要があります。
2〜3社に査定を頼んで、根拠まで説明してくれる会社を選ぶと、許可の手続きも進めやすくなります。

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認知症の親の家を勝手に売ると罰則はあるのか

家族が親に代わって、親の名前で契約書や委任状を書いて売ることはできません。
意思能力のない本人の契約は無効なので、売ったこと自体が取り消されるおそれがあります。

本人に無断で、親の名前を書いた契約書や委任状を作ると、刑法の私文書偽造にあたるおそれがあります。

条文は e-Gov 法令検索の刑法 第159条で読めます。

買主にとっても、あとで無効になるかもしれない家は買えません。
結局、成年後見を通すのがいちばん早い道になります。

相談できる先

どこに相談すればいいか分からないときは、次の順が進めやすいです。

  • 家庭裁判所の手続案内申立ての書類や費用を、窓口や電話で聞けます
  • 市区町村の成年後見の相談窓口地域包括支援センターなどで、制度を使うかどうかから相談できます
  • 司法書士や弁護士申立ての書類づくりを頼めます。後見人の候補になってもらうこともあります

親がまだ自分で判断できるうちなら、選べる方法が増えます。
元気なうちに信頼できる人を決めておく任意後見や、家族に財産の管理を任せる家族信託です。

よくある質問

認知症と診断されたら、もう家は売れませんか

診断だけでは決まりません。

売る契約のときに、本人が売ることの意味を分かっているかで決まります。

兄弟がいても、申立ては1人でできますか

申立ては1人でもできます。

ただ、後見人の候補や家を売ることについて、兄弟の考えを先に聞いておくと、あとで揉めにくくなります。

家を売ったお金は子どもが使えますか

売ったお金は親の財産で、成年後見人が親のために管理します。

施設の費用など、親のために使う形になります。

認知症の親の家を動かすときに今日できること

認知症の親の家は、子どもが代わりに売ることはできません。
親の状態によっては、成年後見と裁判所の許可を通して売ります。

  1. 親が今、売ることの意味を分かる状態かを確かめる
  2. 難しければ、家庭裁判所の手続案内で申立ての書類を聞く
  3. 家の査定を2〜3社に頼んで、値段の根拠を見比べる

手続きには数か月かかります。
施設の費用の支払いが迫っているなら、早めに1つ目の相談をしておくと間に合います。

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